SKiCCO REPORT

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アイドルは2度ブレイクする

気づいた方もいるかもしれないが、「首都圏アイドルファン300人説」は「イノベーター理論」*1に似ている。そのままはあてはまらなかったので、「首都圏アイドルファン300人説」として別に書いてみたのだ。
首都圏300人のアイドルファン全部が「イノベーター」で、それをさらに細分化したのが、「首都圏アイドルファン300人説」だと言えるかもしれない。


そしてアイドルが売れていくときの上昇曲線にはやはりキャズム(溝)が存在し、それを乗り越えたときに「ブレイク」といわれるのだと思う。私はアイドルには2つのキャズムが存在すると思っている。
イノベーター理論でキャズムと言えばアーリーアドプターとアーリーマジョリティの間を指すが、アイドル的には、イノベーターとアーリーアドプターの間にもキャズムが存在する。

キャズムの原因となっているのは、アーリー・アドプターが「誰も使っていない商品で他社に先んじる」ことを望む層であるのに対して、アーリー・マジョリティは「多くの人が採用している安心できる商品で他社に遅れをとらない」ことを望む層であるという点にあります。

これをアイドルに置き換えれば、アーリーアドプターは「売れ始めたアイドルを知っている層」であり、アーリーマジョリティは「今現在マスメディア等に出まくってる売れっ子アイドルを知っている層」である。
イノベーターが明確なアイドルファンであるのに対し、アーリーアドプターは「売れ始めている」という事実が必要な人々である。こういう人たちに支持されだすと一気にメジャー感が出る。いわゆる「Mステ出ないやつは全部プレ」的発想は、まさしくアーリーアドプターの考えだろう。
「首都圏アイドルファン300人説」は、この一つ目のキャズムをブレイクするための話だ。
そしてアーリーマジョリティは今現在確実にメジャーで当分陥落しないだろうと思われる人を支持する人々である。こういう人たちに支持されれば名実ともにメジャーだろう。
大きな事務所等から大々的に売り出される人たちは一つ目のキャズムのことは考えなくて良いわけだが、二つ目のキャズムのほうが大きく深い溝なので、落ちたときは悲惨である。一つ目のキャズム超えを経験していれば、失敗しても固定ファンが支えてくれる。しかし、いきなり大々的に売り出された人は、いざというときに支えてくれる固定ファンが存在してないのだから。
もちろん、大きい事務所、大きいプロジェクトで売り出されるほうが、スタートダッシュでは有利だし、失敗したときのフォローもあろう。しかし、ファンは事務所やプロジェクトにつくのではなく個人につくのだ。事務所との契約はプロジェクトには必ず終わりがあるが、個人についたファンは少なくとも有期で変更されるものではない(それゆえに、ある日突然離れていくものでもあるが)。
人気商売がファンのほうを見ないというのは不自然なのであり、アイドルさんをとりまく様々な歪みはそこからきているのだ。自分に興味と関心を示してくれている目の前のファンを無視して、ブラウン管やネットの向こう側の不特定多数にアピールするのは難しいだろう。