SKiCCO REPORT

アイドル・ガールズエンタテインメントについて書いていきます。ご連絡は mail at skicco.net までお願いします。

アイドルに売上だの金だのの話をさせるんじゃない

良い悪いは別にして、今やCDやDVDの複数購入は当たり前になっており、売る側もそれを織り込み済みで特典を用意してます。それは現実的な対応なのでしょうが、あまりに身も蓋もないなあとも感じることもあります。


アイドルを観て楽しむってのは、アイドルファン以外にとっても、もっと気楽な遊びであってほしいし、そうあるべきだとも考えます。いつもの常連だけを相手に商売をしていては、ファンは増えないからです。
ところが、現在では、アイドル自らが告知の際に、CDたくさん買ってください、前売りチケット買ってください、こんな特典がありますから、みたいな事を言ってることもあります。アイドルというのは本来俗世間から離れた存在で、だからこそ会える喜びみたいなものがあるはずなのですが、口を開ければアレ買ってくれこれ買ってくれ予約してくれとか言われると、なんか気分が萎えるんですよ。ファンを金づるとしてしか見てないんじゃないかって。実際そうであったとしても、アイドルとしては隠すのが最低限の礼儀ではないでしょうか。そういう“汚い”仕事をやるためにスタッフがいるのですし。にもかかわらずタレントに案内させているというのは、スタッフ側の無能の証なのかもしれません。
以前話題にした解散商法とかもそうですけど、CDが何枚売れたらどうの、オリコン何位以内ならどうの、動員何人集まらなかったどうの、とか。プロジェクトを進める上で数値目標の設定(とその検証)が大事なのはそうなのですが、それをファンに見えるところでやるのはどうなんでしょうか。ファン心理につけこんでって言うか、解散商法とかメンバーを人質に取ってるようなものですからね。目先の数字に気を取られてそういう事をやるスタッフだとわかってしまったら、新規のお客さんはなかなか近寄りがたいんじゃないでしょうか。そんな無能なスタッフならさっさと解散して俺の好きな◯◯ちゃんに新しい道を歩んで欲しいくらいのことは考えますよ。


アイドルの必死なセールス・トークがファンを失う | 外資系戦略コンサルタントの視点から見たアイドル・ビジネス

ライブの回を重ねるごとに減っていくファンを目の当たりにしたり、
売上が良くないからもっと頑張れとマネジメント側からプレッシャーを与えれば与えるほど、
彼女達は必死になって熱を帯びて繰り返しセールス・トークを伝えることになってしまうでしょう。

しかも、最近のアイドルはファンとの距離が近いように設計されている都合上、
逆にアイドルからファンへのセールス・トークなどのメッセージの質や量のコントロールすることはマネジメント側からは困難になりがちです。

そして、その必死の言葉が伝わるのは、新規ファンになる潜在顧客や見込顧客ではなく、
既存顧客であるファンの人達に繰り返し伝えられるだけなのです。

実はこのことがビジネスとして逆効果であることはご存知でしょうか。

皮肉なことに、ビジネスとしてアイドルのファンを利益率の高く、
アイドルがお願いすれば喜んで買ってくれるチョロい優良顧客だと思っている、
マネジメントであればあるほどその傾向が強く、
上記の理由で急速にファンの減少を招いているようにみえます。

アイドルグループやマネジメントが落ち込んでいくセールスを埋めるべく
必死にセールス・トークをすればするほど、
減益減収の悪循環を招いて自分たちで首を絞めている状態になっているのです。


アイドルに限らず、一般論として販売者が「買って下さい」なんてお願いするのは、悪手中の悪手なんです。自分の商品に魅力がないって自分で言っちゃってるようなものなんですから。デパ地下で試食勧める人も、美味しいですよ、とは言うでしょうけど、買ってください、とは言わないでしょ。かつてダイエーが安物ビールが売れ残って「買ってください」って広告出してましたが、評判悪くて売れ残ってますって認めちゃったようなものですからね。
だから、今何枚売れました、ノルマ達成まであと何枚です、みたいな事をアイドルが言っちゃう、てのは、ファンタジーのカケラも無いっていうか、非日常を楽しみにアイドルに会いに行くのに、現実的な銭金の話をアイドルに直接されたら、一気に現実に引き戻されますよね。


言いようはいろいろあるわけです。ほんの一例ですけど。
「チケット買ってください」→「一緒に楽しいライヴにしましょう」
「CD買ってください」→「ぜひお手にとって聴いてください」
「今度のライヴの目標動員は◯百人です!」→「一人でも多くの人に観ていただきたいので、はじめての方もぜひいらしてください」
それをただ、アイドル本人が買ってください買ってください言うのは、ファン心理につけこんだやり方であり、本人にそういう事をさせるスタッフがやる現場には、あんまり行きたくねえなあとかいろいろ思われちゃうってのは、知っていただきたいところですね。
アイドルさんも、予約済みCDお渡し会の時に、予約枚数に応じで態度変えるとかすると、あんまりいい感じしないし。さすがにそんなことするアイドルさんは、私の四半世紀以上のアイドルファン歴の中でも一人だけでしたが。


【関連記事】
解散商法とか20世紀の風習だと思ってたんですが - SKiCCO REPORT
アイドルにおけるフリーミアムとマネタイズ - SKiCCO REPORT


【関連リンク】
ちょっとアドバイス (15)「お願い 買って下さい」 1995年4月7日|連載記事/小売|食の情報源−日本食糧新聞社−食品業界ニュース


Amazon特別プロモーション