SKiCCO REPORT

アイドル・ガールズエンタテインメントについて書いていきます。ご連絡は mail at skicco.net までお願いします。

全ては金のために

はっきり言ってしまえば、アイドルはビジネスです。お金を儲けるためにやっていることです。これは、揺るがしようのない大前提です。もちろん、自分や自分の知り合いだけが楽しむためにアイドルに成りきることは誰にも否定できませんし、それはそれで素晴らしい“趣味”だと思います。しかし、仮にも不特定多数の人の前で“アイドル”を名乗り、それを生業として行うというのであれば、その目的は“利潤追求”ということになりましょう。アイドルやスタッフが霞を食べて生きていけない以上は、どうしてもお金が必要になります。
それは何もアイドルに限ったことではなく、少なくとも今現在の日本社会においては、莫大な遺産や不動産収入がある等お金の心配をしなくていい人を除けば、皆、金のために生きている、ということになります。


これではあまりに身も蓋もありませんね。言い方を変えましょう。


アイドルがアイドルで在り続けるためには、事実上、お金が必要だということです。そのために、同じCDを同じ人に何十枚(何百枚)も買わせるように仕向けたりといったような事が日々行われているわけです。その是非を今ここで言うつもりはありません。ただ、それが現実なのです。
そのために、アイドルたちは常に数字を意識せざるを得ません。CDの売り上げランキング、ライヴの動員、グッズの売上、近年のグループアイドルにおいては、生写真に代表されるような個別グッズの売上もグループ内で(あるいはファンにも分かる形で)明示されるケースも珍しくありません。


それにしても、いったい“売れる”ってのはどういうことなのでしょう、何がどうなったら“売れた”になるんでしょうね。
指標はいろいろありますが、それをどう判断するのでしょうか。
CDは何万枚売れて、オリコン何位なら売れたのでしょうか。
どれだけ観客を集めたら売れたのでしょうか。
ミュージックステーションに出たら売れたのでしょうか。
バラエティ番組で粉まみれになったりピザぶつけられたりお笑い芸人に笑いものにされたら売れたのでしょうか。


そもそも、売れるということは、アイドルにとってそれほど絶対正義なのでしょうか。


「いやお前、アイドルは金儲けって言ったじゃねえか!」


はい。それは、アイドルがアイドルで在り続けるためにお金が必要だから、金儲けをしなくてはいけない、という意味です。
ただ闇雲に数字だけを追いかけて、拡大路線を続けることのみが、アイドルの存在理由なのだろうか、と思うのです。


私はアイドルになったことはないし、おそらくこれからも不可能でしょうから、ファンの身勝手を承知で述べさせて頂きます。


アイドルにも、適正規模というのがあるのではないかと思うのです。
アイドル活動を続けるに適正な利潤が出せている状態であれば、皆が皆、数字を求めて拡大することはないのではないでしょうか。
この十年で、客一桁から武道館まで行ったアイドルが3組も出ました。これはとてつもないことです。
しかしその一方、この十年間いやそれ以前から、消えていったアイドルは数えきれいないほどいます。その中には、少なくない熱心なファンを獲得していたいにもかかわらず、適正規模を踏み外したばっかりに“失敗”と判断され、活動停止を余儀なくされたと思われる人たちもいました。きちんとファンがいたにもかかわらず!
青年館成功した!次はサンプラザだ!武道館だ!横アリだ!ドームだ!
右肩上がりでなければ“成功”とみなさない、というのは、なにか一面的なものの見方のようにも感じます。
もちろん目標を持つことは大切です。しかし、数字ばかりにとらわれていると、数字だけではわからない大切な物を失ってしまうのではないでしょうか。


そして、“売れる”ことそのものを目標にもすることにも、疑問があります。
ファンが増えた結果“売れる”のであればとても素晴らしいことです。
しかし、往々にして、「テレビにしょっちゅう出てる人」「CMやってる人」「雑誌でいつも話題になってる人」を“売れる”と思ってる方が、アイドル、ファン双方にいるようで、心配になります。
それらは、テレビ局、広告代理店、ニュース等各メディアの采配でどうにでもなるもの、すなわちファンは蚊帳の外です。
そんなものに左右されている状態を、ファンは無批判に受け入れてよいものでしょうか。
実際、テレビにしょっちゅう出ている知名度のある有名人が、いざイヴェントをやってみたら客の入りが予想外に低かったという話は、時々耳にします。
それを“売れる”と言っていいのでしょうか。そんな状態を目標にしていいのでしょうか。


例えば、やはり客一桁の路上弾き語りからはじめた奥華子さんは、メディアではめったに見ませんが、全国津々浦々のホール(クラス)でコンスタントにコンサートを行なっています。売れてなければ(儲かってなければ)このような活動は継続できないでしょう。
また、日本の若者なら誰でも知ってるようなビッグなアーティスト、例えばミスチル、B'z、長渕剛、ドリカム……枚挙にいとまがありませんが、こうした方々もめったにテレビなどには出ませんが、彼らを“消えた”という人はいないでしょう。


我々が大好きなアイドルを支持し続けるということは、自分の目で耳で心で自分の好きなアイドルを決めること、テレビや雑誌に出てるからとかランキングが上位だからとかそんな“人任せ”をやめることが大切なのではないでしょうか。
そうしてファンがしっかりと支えれば、アイドルがテレビ受けを狙うために芸風を変えたあげく原型をとどめずにメディアに消費され捨てられるというような不幸な事も減らせるのではないでしょうか。


「ファンを増やさなくては!」→「メディアに出なくては!」→「テレビ屋に隷属しなければ!」→「客の頭数さえ増えれば客の満足なんてどうでもいいから!どうせテレビにつられるような連中だし!」→「芸風変わろうが女のコが泣こうが儲かってるから問題ないガッハッハ!」
こういう腐った銭ゲバの方程式はもううんざりです。