SKiCCO REPORT

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セレンド(Serend)はフェイスブック(Facebook)の夢を見るか

SNSセレンドが「つながれ母校選手権」という企画を行っている。学校ごとに登録者数を競わせ、1位の学校でAKB48がライブを行うというものだ。
つながれ母校選手権特設ページ

最も登録者が多かった学校でAKB48がライブ……「つながれ母校選手権」開催 | RBB TODAY (エンタメ、その他のニュース)

セレンドでは、人と人がよりつながっていき、健全に交流していくためには相手の身元が明らかであることが必要だとしている。そのため会員登録時に「名前」「性別」「年齢」「学校名」などの入力を必須としている“実名主義”を採っているケータイ向けSNSだ。

セレンドは当初女性向けSNSとしてスタートした。
女性をターゲットにした会話型のミニブログ「Serend」 - ケータイ Watch
それがなぜか昨年はBerryz工房℃-uteの特集ページを開設したり。
Berryz工房のメンバーとおしゃべりしよう! | セレンド
℃-uteのメンバーとおしゃべりしよう! | セレンド
それが今回「同級生SNS」を前面に打ち出してAKB48の企画。いつからかは不明だが、AKB48の運営である株式会社AKS事業内容に「インターネットを利用した各種情報提供サービス(セレンド事業)」が組み込まれている。※現在でもBerryz工房℃-uteセレンドは継続中である。
AKB48公式サイト|会社概要


そこでふと思い当たったのが、ふたつ。


ひとつは、世界最大のSNSフェイスブック(Facebook)の事だ。
Facebookは大学のSNSからスタートしている。現在公開中の映画「ソーシャル・ネットワーク」でも描かれているが、学校名に縛られた“つながり”がFacebookのとその後の躍進を特徴付けている。しばしばFacebookの特徴として挙げられる実名制についても、学校ありきなのだ。つまり、セレンドは「日本版Facebook」を目指すために、AKB48の「人気」を使い登録者を増やしていこうとしてるのではないだろうか。
考えても見て欲しい。無料ライブは一度やれば終わりだが、この企画の終了後セレンドには莫大な会員情報―それも学校名にひもづけられた実名の―が残るのだ。さらに言えば、その多くはこれから社会にでる若者であろう。そこで行われる(広義の)コミュニケーションときまめて実在性の高い会員情報を一手に握ることができる。日本3大SNSはのうち、mixiは枯れ、GREEとモバゲーはソーシャルゲームでの収益化を急ぎすぎ公取から目を付けられている。また「下流食い」という言葉に代表されるように登録情報の「質」にも疑問符が付く。セレンドが「日本版Facebook」を目指しても不思議ではない。


もうひとつは、AKB48関連の本人確認に使うのではないかということだ。
AKB48の劇場公演は今やプラチナチケットと化したが、ファンクラブには劇場公演チケットを優先的に買える特典がある。そのためにファンはひとりで何口も「入会」し、さらに競争率が上がり、そのためさらにファンは入会口数を増やすという悪循環に陥っていた。そのため現在は新規募集を停止し、比較的一意性の高いガラケー向けのみのファンクラブとなっている。
またAKB48の握手会などのイヴェント参加券はしばしば転売の対象となり、そのため握手会では身分証持参など厳しい本人確認が行われている。
そこで、セレンドの会員情報を利用して、ファンクラブ入会を受け付けるのではないだろうか。
例えばmixiプレミアムのように、セレンド有料オプションとしてAKB48のファンクラブサービスが提供されるのだ。元々AKB48の企画で集められたユーザなのだから、これはスムーズに行くだろう。あるいはもっと手軽に、ポイントをためることで様々な特典を提供するなども可能になるのではないか。最近ではももいろクローバーぱすぽ☆が実施しているが、そもそもAKB48ではサポーターカードでポイント制を実施しようとしたり、またファンクラブ会員証にはFelicaが搭載されるなど、会員情報にひもづけたサービスの導入を何度も試みては断念している。
そこで、セレンドを使って集めた信頼性の高い登録情報を使い、ファンクラブやその他の施策の実施を行うのではないだろうか。
さらに言えば、AKB48が売れなくなったとも登録情報は残る。中学生が高校生になり大学生になり社会人になっても。他のアイドルを売り出すときにもセレンドが使えるだろうし、あるいはアイドルに関係ないような、個人情報を必要とするようなサービスにも使えるだろう。


若い人達をセレンドに登録させ、彼らが社会へ出た時も、一意性を証明し、各種サービスに応用する。日本版Facebookのさらにその先、学校生活もコミュニケーションも消費性向もすべて把握するのが今回の企画の真の意図ではないだろうか。少なくとも、そのための条件は備えている。
SNSはの世界はウィナーテイクオールと言われ、世界ではMySpaceが、日本ではmixiで決まりだと思われてた。だが海外ではFacebook、日本ではGREEやモバゲーがとって変わった。その次が無いと誰が言えようか。
セレンドの野望は始まったばかりだ。