SKiCCO REPORT

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AKB48の「次」を狙いたければテレビを捨てろ

AKB48のヒット分析やそれにともなうアイドルブーム、アイドル戦国時代に関する記事やら書籍やらが散見される。的はずれなものがほとんどだが、アイドルに注目が集まってる、特に「儲かるビジネス」として認められていることの証なのだろう。アイドルが「売れないもの」として白眼視されたアイドル冬の時代を知ってる身としては、驚いたの一言では足りないほどの感慨がある。そこまで遡らなくても、ほんの5,6年前の暗黒時代と比べても信じられない。今でこそちょっとしたアイドルプロジェクトなら数百人くらいは軽く動員するが、AKB48が250人集めるのに2ヶ月かかったという事実が、当時のアイドルを取り巻く環境の厳しさを示している。


時代は移ろう。アイドルを売り出す方法も変わっていく。すなわち、AKB48と同じことをやっても次は無いのだ。


だからもしあなたが、アイドルを売り出そうとか考えているならば、アドバイスをしておこう。
テレビは捨てよ、と。
まあ捨てるも何も出たいからってすんなり出れるものではないんだろうが。だがそういうときにかぎってうっかりテレビ出演の機会があるとニンジンぶら下げられた馬のようにあとさき考えずに飛びついて、あとさき考えてないから結局それだけで終わり、悪い後味だけが残るというのを何度目にしたことか。


AKB48はテレビと現場の両輪を上手く使ってのヒットとなったが、AKB48はテレビが産み出した最後のアイドルになるかもしれない。
というのも、アイドルのメインターゲットとなる若い世代のテレビ離れが我々テレビ世代の想像を絶するスピードだからだ。
www.rad.co.jp/client/core/2011SpOP/20110215newsrelease.pdf(PDF)
「テレビは欠かせない存在」6割近く、一方で「無くても困らない」も1/3:Garbagenews.com

全体ではほぼ1/3だが、24歳以下の男性に限れば半数近くの人が「テレビが無くても特に困らない」と回答している。

そして情報源として比重を増しているのがネットだ。
www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2010.pdf(PDF)
日本レコード協会の発表では、「CDの購入のきっかけとなった媒体」として、男性の大学生は「ニコニコ動画」、20代の社会人については「Youtube」がトップになっている。高校生以下では必ずしも1位ではないがこれは単にネット普及率の問題(自分のPCを持ってない、動画サイトを視聴できるケータイを持ってない、等)と推察される。


とまあ数字を出しては見たものの、この手の話はあまたあるアイドルなんちゃら分析みたいな記事でさんざんされており、さすがにネットを無視していいと考えている送り手はかなりの少数派だろう。
問題は、テレビに依存した意識、いわば「テレビ脳」である。


テレビに取り上げてもらうために、ファンに同じCD何枚も買わせてチャート上位に入ってめざましテレビで紹介してもらう。
テレビに取り上げてもらうために、囲み取材やって、客をほったらかしにする。
テレビに取り上げてもらうために、しょーもないタイアップをドヤ顔で獲得する。
テレビに取り上げてもらうために、親が泣くようなバラエティ番組で消費される。
テレビに取り上げてもらうために、テレビ屋と結託しヤラセ演出捏造で盛り上がってる体で取材を受ける。


いつまでそんな仕事を続けるつもりだ。


テレビ屋の「出してやってる・取り上げてやってる」意識と、それに隷属するアイドルスタッフでは、もうこれからの時代は生き残れないと断言しよう。
なぜならば、先に説明した“テレビからネットへの比重の移動”は単にメディアが変わったことを意味するものではない。
Youtubeにせよニコ動にせよ、ネット全般に言えることだが、「何を見るか」は見る側が決めるのがこれからの世代なのだ。テレビは、同じものを大量に配信するには向いているが、生まれた頃からネットがある世代にとっては、そんなもの退屈で仕方ないのだろう。面白いところへ必ず人は集まる。そして必ず同好の士を見つけることが出来る。昔みたいに翌日のクラスの話題に乗り遅れないために同じ番組を見る必要がないのがデジタルネイティブだ。


そういう時代に、テレビ屋詣でを重ね媚びへつらうような仕事をする気か?お前はどっちを向いて商売をしているのだ?ということだ。


ゲーノーカイの仕組みがどーたらいうヒマがあったら、自分が新たなゲーノーカイを作ればよいではないか。
今のところ、まだ現状の「テレビ屋ゲーノーカイ」と違う枠組みというのは、誰も手を付けていない。こういうのは先にやったもの勝ちだ。仕組みを作った者勝ちだ。
「そんなの中学生の妄想だろ」と笑うのはたやすいが、AKB48だって最初始まった頃は笑われていたのだということを思い出して欲しい。あんな金持ちの道楽が続くわけがない、あの劇場を維持しつづけられるわけがない、と言われてたのだから。


「IT革命」と呼ばれて早十数年、アイドルを取り巻く環境はいまだ20世紀の悪習から抜け出せていない。チープ革命流通革命も起こってない(やたらチープなだけのはたくさん湧いて出てきたが)。何も持ってない“中間業者”がすべてを支配しアイドルやファンを泣かせる時代は終わらせなければならない。
アイドルという存在があれば、ファンと結びつくのにもう中間業者は必要ない。
この仕組を最初に作り出したものがAKB48の次の時代の覇者になるだろう。