SKiCCO REPORT

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アイドルにおけるリアルタイムウェブの潮流〜ももクロ、女子流に続け〜

先日、東京女子流中野サンプラザコンサートが決定したと発表された。この春に中野サンプラザでのコンサートを成功させたももいろクローバー(現:ももいろクローバーZ)は、この年末にさいたまスーパーアリーナでのコンサートに取り組む。両グループには加速度的にファンの注目が集まり続けている。
この二組はまさしく数多くの現場を着実に積み重ねてファンを増やしてきたのだが、他にも共通点がある。それは、TwitterUSTREAMといった“リアルタイムウェブ”を実に効果的に使ってきたということだ。


TwitterUSTREAMを使用してるアイドル(運営)は昨今珍しくもないが、ももクロも女子流も早くから取り組んでいたことに加え、その特性であるリアルタイム性、ライブ感覚を最大限に押し出していた。
昨年10月には、名古屋で行われているももいろクローバーのライブ会場へ、東京女子流が「忘れ物を届けに」行く様子をまるまるUSTREAMで配信(新幹線の中まで!)し、ももクロ現場で行われているUSTREAM配信と合わせ“二元中継”状態だった。当時私も“二窓”で視聴していたが、女子流がライヴ会場に入ると、ももクロ側と女子流側の両方から同じライブの音が聴こえてきたり、ももクロのライヴを見つめる女子流の姿を見れたりと、現場とはまた違った意味でのダイナミックな経験だった。

また、二組とも、日頃からライヴ中継だけではなく、不定期に過去映像の配信を行い、それをまたTwitterで告知・実況を行う等、飽きさせない工夫を日常的に行っている。特に女子流は、過去ライヴ配信で追体験を行う「ディスカバー女子流」や、イヴェントであろうがなかろうがなんでも配信する「今、女子流は…」等、正規のイヴェントと同じ扱いで告知も行われている。もちろん、Twitterを併用し、ファンによる情報の共有、拡散を促している。


二組ともそもそも現場が多く、USTREAMで配信するイヴェント自体が多かったことに加え、Twitterでの告知も日頃から日常的に行っていた。またUSTREAM配信中もスタッフが“実況”するなどの前向きな取り組みもまたファンの信頼を獲得していった。
文字にするとあっさりしているが、実際には年単位の地道な取り組みで、初期には200そこらだった視聴者数も、ももクロはすでに数千、女子流も1000を超えるようになってきた。そしてそれと比例するかのようにリアルの動員数も上がっていった。
有料のライブ等を無料で配信することに疑問を感じる人もあるかも知れないが、少なくともこれから売りだそうとする場合においては、効果はあると言えるだろう。既存メディアが使えない場合はなおさらである。


そして既存メディアでも、そのリアルタイム性を活用している動きがある。
文化放送のラジオ番組「Berryz工房 嗣永桃子のぷりぷりプリンセス」では、スタッフ(@jiiya_joqr1134)がオンエア時刻にTwitterで呼びかけ、タイトルコールをハッシュタグを付けて一緒に行うことで、ファンと番組との一体感を強めると共に、ウェブ上での話題づくりという「実効性」も向上させている。Twitterでは特定の時刻に集中して同じ言葉がつぶやかれるとそれが集計される仕組みがある。ファンが番組名「ぷりぷりプリンセス」などの言葉を一斉につぶやくことで、それらの「集中してつぶやかれた言葉ランキング」に掲載され、それでまた話題になる、多くの人に番組や桃子に興味を持ってもらう、気づいてもらう、という試みだ。
少しずつではあるが確実に効果は出ているようだ。
この手法で革新的と言えるのは、まさしくファンがこの試みに「参加」し「応援」できるところだ。アイドルファンを長くやっていれば一度や二度は「応援とはなんぞや?」という悩みにぶつかることはあるだろう。この試みは、そんな問いに対するひとつの「答え」かもしれないし、それを可能にしたのが、“リアルタイムウェブ”なのだ。


とはいえ、リアルタイムウェブも万能ではない。
USTREAMのライヴ配信ひとつとっても、そもそもライヴ自体が魅力的でなければお話にならない。なにせネット環境があればどこでも誰でも気軽に見れるものである。思い入れも心理的ハードルもない分、魅力的でなければ二度と見てもらえず、悪い印象だけを広めてしまう可能性もあるのだ。それに、やはりライヴは現場が一番楽しいに決まっている。どうやったって配信では楽しさがスポイルされる。ネット越しにも伝えられるパワーがあれば良いのだが、そうでない場合、現場ならではの楽しさが魅力になってる場合は、あえて配信しないという選択肢も考慮に入れるべきだろう。
ラジオ番組にしても、興味を持ってもらうまでは良いが、いざ聴いたらがっかりではやはり逆効果だ。内容がともなわないのにTwitterでのつぶやきをやりすぎれば、スパム扱いされてそもそもフォローしてもらえないかもしれない。先のぷりぷりプリンセスの例は、Twitterという同好の士がつながりやすい場所で、ファンが自発的に行っているからこそ効果があるのだろう。


チープ革命」と言う言葉が生まれて久しいが、アイドル界では長らくその効果が見えず、TwitterUSTREAMの時代になってようやく成功事例と言えるものが出てきた。
「持たざる者の武器」はぜひ活用して欲しいが、それは魔法の杖ではない。使えば明日にでもハッピーになるという類のものとは違う。
必要なのは、地道な活動の継続と、そしてなにより、アイドル自身が魅力的であること。TwitterUSTREAMも、その魅力を伝える道具なのだから。
これらの事例が呼び水となり、大手メディアに頼ること無く、これからのアイドルたちの魅力が広く伝わるようになることを願っている。