SKiCCO REPORT

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10年代新人アイドルの売り出し方

ツイッターをやっていると、いわゆるアイドルの送り手側の人たちの“つぶやき”を目にすることも少なくない。それぞれ意欲や「愛」が伝わってきて頼もしかったりもするが、中には首を傾げるようなツイートも無くはない。


昨年デビューしたとあるアイドルのスタッフがこんなことをつぶやいていた。ライヴのネット配信を要望するツイートに対し「無料配信は考えてない。有料配信なら積極的に検討中」という意味の返答していた。
どうだろう。これは昨年デビューした、“これから”のアイドル(スタッフ)の話である。浜崎あゆみAKB48の話をしているのではない。


もちろんどんな売り出し方だろうと陣営それぞれに考え方はあるし、先のことはわからない。しかし、まだまだこれから多くの人に知ってもらおう、という段階のアイドルのスタッフとしては、近視眼的な発想ではないだろうか。


彼らが、彼らが売り出すアイドルが、広告費を湯水のように使え、テレビにもバンバン出演できるようなら私は何も言わない。だがこのような発言をしたのは、これから売りだそうとしているアイドルの話である。


「いやだって配信したって儲からないし当然じゃね」と思う方もいるだろうが、では考えてみて欲しい。彼らはミュージックステーションに出れるとなったときに儲からないからと出演をやめるだろうか。あるいは、渋谷などの街頭ビジョンに映像を流すとなったときに儲からないから金が取れないからと映像を出すのをやめるだろうか。


無論商売でやっている以上利益を出す方法を考えなければいけないし、そうでなければ活動を継続していくことはできない。それは言うまでもない。
だがアイドルという人気「商売」は、たくさんの人に好かれてこそ成立するものだ。


例えば、PerfumeでもAKB48でもいいのだが、初期には無料で観ることができた。それがなぜ今プラチナチケットになっているのか。欲しがる人がたくさんいるからである。だがそれこそAKB48劇場などはどれだけ人気があっても実際に金を払うのは250人なのだ。それ以外の、メール抽選に外れた人はビタ一文払わずに、お家のテレビでAKB48を見ることになる。


人気というものは、金払う払わないに関わらず多数のファンによって支えられるものだ。実際に金を落とすのはそのほんの一部だ。ファン全体の人数が多くなれば、金を払う人も増える。
だから人気「商売」をやっていこうというなら、ファンという「分母」全体を大きくすることを考えなくてはならない。


みんなが羨む人気者になったあとならいざしらず、売り出しの段階で「金が入ってこないからネット配信やらない」などというのは、あまりに不見識であり、そのような発想では結局日銭稼ぎの自転車操業に陥る。金払いのいいファンだけしか相手にしなければ、そこからファンが増えることはない。なぜならその時点で金を払ってる人はファンが増えたら、自分への「サービス」が低下したり自分の支払う額が増えたり、と自分が損をすることが明らかであるからだ。そのような人がファンを減らすことは考えてもファンを増やすことを考えないだろう。


結果、そのような考えのスタッフに売りだされたアイドルは、オタクのオモチャになるのだ。


それでいいというならばこれ以上言うことはないが、そうでないならば、まずはたくさんの人に知ってもらうことが先決だし、ネットはそのための強い武器である。使わない手はない。昔と違って、テレビや雑誌に出なくても、知ってもらう方法はいろいろあるのだから。


あと念のため言っておくが、ネット配信はやりゃあいいってものでもないとは考えている。現場でしか伝わらないことだってあるし、無料イヴェントを増やすほうが人間のプリミティヴな欲求には適してると思う。