SKiCCO REPORT

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人間生まれる家も土地も選べない

最近……でもないかもしれませんが、アイドルにおいて「現場」(ライヴやイヴェント等アイドルを直接観たり交流できる場所や機会)を重視する声が、すいぶん強まってきたように感じられます。


そのこと自体には意義はありません。何より私自身が、いろんなアイドルを自分の目で観たい感じたいという一心で上京してきたのですから。現場に行かないとわからない、感じられないことがある。それには自分とアイドルの間にメディアが入っていてはダメなんだ、メディアによる選別や加工がなされてないアイドルの真の姿を観たいのだ、と。
ただ、私は上京することが可能だったから上京しただけです。それができない人の方が多いでしょう。人の数だけ人生の都合はあるし、生まれてくる家も土地も自分では選べないのですから。
21世紀に入り急速に普及し発展したインターネットは、このような距離の隔たりを緩和するものです。USTREAMひとつとっても、USTREAM以前とは全く別世界のように環境が違います。それまでは雑誌などの文字と写真でしかわからなかったライヴの様子が、まさにリアルタイムで中継され、全国はおろか全世界で視聴できるのですから。YouTubeしかりTwitterしかりです。
このへんの話は、以前もまとめて書きました。
アイドル大航海時代〜ネットの海から新天地へ〜 - SKiCCO REPORT
アイドルが地方から全国全世界へアピールできるようになったのですから、ファンの側も必ずしも現場に行かなければならない、とは言えないのではないでしょか。
そりゃ行けりゃ行きたいですよ誰だって。現場が一番楽しいに決まってるじゃないですか。ツアーだって全通したいしリリイヴェも全部行きたいし。ただ、現実的にはファン全員が全員できることではないし(チケットが売り切れるということは行きたいし行けるけど参加できない人が存在するということです)、現場に来ないからファンじゃないみたいな言い方は、ちょっと一方的すぎるかなあと感じます。
例えば仕事が忙しくてなかなか休みが取れないような人が、家でアイドルの曲を聴いたり、USTでライヴの雰囲気を味わったりして楽しむのを、ファンじゃないみたいな言い草は違うのではないでしょうか。
誰が好きになってもいいのがアイドルです。握手会行きまくろうが、全国ツアーコンプしようが、写真集めようが、家で曲を聴こうが、それぞれに楽しめるじゃないですか。
そうすると「現場で金落とさないやつがうるせえ」みたいな反論がでてきそうな気がしますが、金払ってるやつだけがファンという発想は、金さえ払えば何やってもいいという迷惑ヲタの肯定につながる危険をはらんでおり、より金を使った奴がエラいみたいなファンの序列化につながります。
アイドルの定義になるとなかなか難しい話になりますが、仮に、“アイドルとは、誰が好きになってもいいしより多くの人に好かれるべき存在”とするならば、現場に来る頻度や使った金額でファンを序列化する方法は、アイドルにはふさわしくないと私は思います。
たまたま生まれた土地や環境に恵まれてファン活動ができる人はどんどんやっていただければいいですし、それはアイドル側にとってももちろんありがたいことです。ですが、本人の意志とは関係なく、生まれた土地や環境あるいは歩んできた人生によってはそうそう(あるいは一生)アイドルの現場に行けない人はいくらでもいるでしょう。
現場に来れる人だけでなく、遠くから応援してる人のことも忘れないでいただきたいと願います。


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