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SKiCCO REPORT

ライターやってます。アイドル・ガールズエンタテインメントについて書いていきます。お仕事のご依頼は[skiccoあっとgmailどっとcom]まで。お待ちしております。

レコード会社はいつまで光る円盤を売る商売を続ける気なのだろう

misc idol AKB48 column

違法ダウンロード刑事罰化は、音楽業界の強い働きかけで実現しました。
違法ダウンロード刑事罰化・著作権法改正案が可決・成立 10月1日施行へ - ITmedia ニュース

当初、政府が提出した改正案には違法ダウンロードへの刑事罰導入は含まれていなかったが、音楽業界の要望を受けた自民・公明が6月15日、刑事罰を導入する修正案を議員立法により衆院委員会に提出し、これに民主も賛成して衆院で可決していた。刑事罰化は修正案の提出から5日間で成立したことになる。


日本レコード協会はこれについて歓迎するコメントを発表しました。
日本レコード協会、違法ダウンロード刑罰化成立に「歓迎」コメント - ITmedia ニュース


ざっくり言えば、「音楽CDの売上が下がった!インターネットで無料で音楽がやり取りされて我々は損している!けしからん!」ということなのでしょう。


「市場を公正なものに」「CDが売れるようにはならない」──著作権法改正案、参院で参考人質疑 (2/3) - ITmedia ニュース
日弁連の市毛由美子事務次長はこのように述べています。

違法ダウンロードは音楽ファイルだけでも12億ファイルなどとされるが、この全てのダウンロードを検挙して裁判にかけることは不可能であり、「権力にとって都合の悪い人に対してだけ刑罰の執行が行われる危険性をはらんでいる」と捜査当局による乱用も懸念。

インターネットユーザー協会(MIAU)の津田大介代表理事は以下のように指摘します。

刑事罰導入の「筋の悪さ」から、音楽業界の要望を受けた自民・公明の議員立法による修正案で改正案に盛り込むという経緯も「一部の業界の意見だけを聞いている」と批判。「違法ダウンロードの被害は6800億円近いという調査結果があるが、CDのピーク時だった90年代後半の市場が6000億円だったのに、被害が6800億円というのはバーチャルに過ぎるのではないか」と、根拠などが偏っているのではないかと指摘。「偏った結果に対してチェックして慎重に議論してやっていくのが国会の役割。それがチェックなしで進んでいくのは非常に残念だ」とした。


特定の業界の損得のために、社会全体に影響を及ぼす法律をこうも簡単に変えられてしまうことには恐怖を感じます。


一方で、ここ数年はミリオンヒットが連発されています。
2012年 オリコン上半期シングルランキングトップ100 結果速報 : The Natsu Style
上半期だけで、ミリオンが2作。6位までは50万枚を超えています。10位までに48グループの作品が6作入ってますが、これらはYouTubeで無料で公開されているものです。


「それは握手券で売ってるからだろうが!」


そうですね。配信でも上位にいますから全部が全部というわけではないでしょうが、その影響は否定しません。同時に、配信でも売れているということは、もう「音楽のデータが入ったかさばる円盤」は、メディアとしての歴史的使命を終えようとしているとも言えるのではないでしょうか。
それを、無理矢理にでも何十万枚も売ろうとするから、握手券とか付けなくてはいけなくなるのです。


アイドルに関しては、握手券商売と揶揄する声を聞かない日はありません。しかし、握手会だって簡単にできるわけではないのです。特に48グループほどの規模になれば、東京ビッグサイトや幕張メッセといった会場が必要になります。会場整理の人間も人件費もかかります。規模が大きくなり人数が増えれば、経費がふくらんでいくことは素人でもわかります。これらは、CDが店頭で売れれば必要のない費用です。そこまでしてあの光る円盤を売って、一体なにがしたいのでしょうか。
そしてなによりも、酷使されるのは当のアイドル本人たちです。握手会が行われるたびに、体調不良が報告されています。机上で握手会を計画するレコード会社はどう思ってるか知りませんが、アイドルは生身の人間です。酷使されれば倒れもしますし、精神だって疲弊します。きちんとした報酬(例えば個別盤の売り上げに応じた歩合とか)を受け取れているかも疑わしいです。なにせCDの価格自体は、握手券がついていようといまいと大して変わらないのですから。天下に名だたるメジャーレコード会社が、年端もいかぬ女の子をタダ同然で酷使して光る円盤売るような商売をするのは許されるのでしょうか。


今の若い人と話せばわかりますが、もうCDで音楽の聴くのは主流ではないです。一番音楽に興味を持つ時期にYouTubeなどで音楽に接した世代は、音楽を聴くためにわざわざ光る円盤買ってくるという習慣はないのでしょう。レコードがCDになったように、VHSがDVDになったように、これは止めようもない流れです。
そうした市場環境の変化に対応できない音楽業界が、エゴだけで国政を動かし、事実上全ての日本国民を容疑者扱いするような法律を成立させてしまいました。
はたして、CDの売上は戻るでしょうか。戻らなかった時に、今度は何を敵視するのでしょうか。それまでレコード会社はもつのでしょうか。


握手でCDを売るくらいなら、握手券売ったほうが儲けは大きいでしょう。それが下品だというなら、もっと他に売るもの考えるのが商売ではないでしょうか。
かつて“便利”を売っていたコンビニは、おでんなどカウンターフードをはじめ次々と取扱品目を増やし、今ではATM手数料やチケット販売などでも収益を上げています。時代とともに商売を変えていく、広げていくというのは、めずらしくもありません。
日本レコード協会に加盟するメジャーレコード会社が、今までの商売のやり方を変えられない、光る円盤を何十万枚何百万枚売ることしか知らないというなら、恐竜のように滅んでいくしかないのではないでしょうか。


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