SKiCCO REPORT

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一億総容疑者時代の到来を告げるダウンロード刑罰化

違法ダウンロード刑事罰化を含む著作権法改正案が本日6月20日成立しました。ダウンロード刑事罰化などは10月1日に施行されます。大事なことは何も決められない我が国の国会ですが、我々の生活に多大な影響を与えるであろう本法案は、たった5日間でさっさと成立したそうです。


違法ダウンロード刑事罰化・著作権法改正案が可決・成立 10月1日施行へ - ITmedia ニュース

 当初、政府が提出した改正案には違法ダウンロードへの刑事罰導入は含まれていなかったが、音楽業界の要望を受けた自民・公明が6月15日、刑事罰を導入する修正案を議員立法により衆院委員会に提出し、これに民主も賛成して衆院で可決していた。刑事罰化は修正案の提出から5日間で成立したことになる。


自分は違法ファイルなんかダウンロードしないから関係ない、と思ってる方がいるかも知れませんが、この法案の成立により、事実上、ほぼすべてのインターネットユーザーを容疑者扱いすることが可能になります。


違法ダウンロードに刑事罰・著作権法改正で何が変わるか 壇弁護士に聞く - ITmedia ニュース

――YouTubeニコニコ動画では、動画を一時ファイルとして保存しながら再生する「プログレッシブダウンロード」という方式が採られています。これは問題ないのでしょうか。

壇弁護士 現時点では手元に確定した改正条文がないので断言できませんが、「ダウンロード違法化」の段階であれば手段に制限はなかったので、そのままであればYouTubeなどのプログレッシブダウンロードも規制対象になると思われます。

「いちいち警察が立件することは手間的に難しいので、警察が“けしからん”と判断した場合にだけ立件することになる。しかも幇助(ほうじょ)と絡めると、処罰の範囲がものすごく広い。サーバ管理者も幇助の対象となりかねないため、1つのダウンロードにつき1つの幇助が成立すると、ものすごい数の幇助罪になる」


私的違法ダウンロード刑罰化を含む著作権改正法、参議院で審議 -INTERNET Watch

違法ダウンロードを刑罰化することで生じる影響について、市毛氏は「軽微な嫌疑をかけられただけで、PCを覗かれるのではないかという懸念がある」と説明。一方、久保利氏は「紙を1枚盗んでも窃盗であることに変わりはないが、ペナルティを課すだけの重要性があるかどうかについては検察官が起訴するかどうかのチェックをかけている。この種の案件だけチェックがかからないということはない」とした。


警察や検察のさじ加減ひとつでどうにでもなるということです。夜中に自転車乗ってるだけで職質受けたことがある人も少なくないでしょうが、その際にスマフォをチェックされ、“合法ファイル”と立証できなければ(どうやって違法か合法か確認するのか見当もつきませんが)しょっぴかれるようなことがあるかもしれません。


今、特に若い世代は、YouTubeなどでコンテンツに接することが当たり前になっています。それは、かつての若者がテレビやラジオからエアチェックしたりするのと同じ感覚でしょう。そういう行為が取り締まりの対象となり、違反すれば前科がつくとなれば、CD離れテレビ離れ以上に、音楽離れが起こってしまうのではないでしょうか。将来の音楽ファンを育成しないどころか犯罪者扱いして、いったい何がしたいのでしょう。


クリエイターの中には、最近のリスナーはモラルが無くなったとおっしゃる向きもありますが、アラフォーの私だって若い頃はテレビやFMでエアチェックした曲を聴きまくったり、レンタル屋で借りてマイMD作って聴きまくったりしてました。友達とCDがやテープの貸し借りも行なってました。ダビングして返しました。若いころのそういう“感性を貯金”というのは、大人になってからも生活を豊かにするものではないでしょうか。


著作権法の第一条にはこうあります。

第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。


我が国の著作権法は、“著作者等の権利の保護”ばかりに重きが置かれ、“文化的所産の公正な利用”や“文化の発展”がないがしろにされてる印象です。全ての日本国民のためになるはずの法律が、一部の権利者のためだけにどんどん捻じ曲げられてしまい、本来の目的を見失っている気がします。