SKiCCO REPORT

アイドル・ガールズエンタテインメントについて書いていきます。ご連絡は mail at skicco.net までお願いします。

苦労というコンテンツ

近年、アイドルにおいて、肉体的、精神的に本人たちを追いつめ、その光景をあたかも商品のように売りだしている事例が散見される。個別の事例については挙げないが(彼女たちが悪いわけではないし、彼女たちを批判するのは当記事の目的ではない)、過酷さや悲惨な状況を見せつけ、さあどうぞ感動してください、というのは、もううんざりだ。
努力や苦労を売り物のように見せびらかす風潮は、いただけない。労苦を与える事自体が目的となり、結果や効率を考えない“困難”を押しつけ、“乗り越える姿”を賛美する。お手軽に人を感動させるために、わかりやすい「(他人が)苦労している光景」を商品化されているのではと思える。
アイドルの苦労話というのは昔からあるにはあるが、それらの多くはあくまで、過去の事例やいまだから言える話的な暴露話として紹介されるもので、近年のように、現役一線のアイドルが苦労している姿があからさまに紹介されるというのは、何かやりきれないものを感じる。
そうした、目に見えるわかりやすい努力や苦労ばかり賛美されるというのは、裏をかえせば、日々の見えない努力、地味な鍛錬、小さな工夫といったものが軽視されるのではという危惧もある。
人が苦しむ姿を好き好んで見て喜ぶのは悪趣味ではないのか?そうした価値観で“作られる”アイドルってのは、楽しいか?
私は好きじゃない。
アイドルには、いつも笑顔でいて欲しいのだ。
「それは、お前の楽しみのために彼女らがどれだけつらい思いをしてるか見たくないからそんなこと言うんだろ」と言われれば、ああそうだよと答える。
私は、自分が楽しいからアイドルを観に行くのだ。誰に強制されているわけでもない、アイドルたちの活躍が楽しから好きなのだ。お情けでファンをやる気はないし、いい人ぶる気もない。
そして、私にとって一番の喜びは、彼女たちが笑顔でいられることだ。ファンだからな。
だから私は、今後も、これ見よがしの苦労コンテンツに惑わされないよう気をつけて、アイドルたちが活躍するのを楽しんでいきたいと考える。