SKiCCO REPORT

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桜川ひめこ

マスコミが好きそうなステレオタイプな『アキバ系』。一般大衆が喜びそうな『アキバ系』。それを極めて自然に具現化してる。なるほど、と思った。


Xや聖飢魔IIが駆け出しの頃、「ヘビメタ」の偏ったイメージに対して「ヘビメタじゃねえヘヴィ・メタルだ!」などと言い返さず、むしろ「ヘビメタですが何か?」くらいにしれっと受け入れポジティブに利用して、表向きは「一般大衆が喜びそうなヘビメタ」をやってみせてたことを思い出した。
そして、「ステレオタイプなアキバ系」として、桜川ひめこのパフォーマンスはすべて過不足が無い。俺も現場で二、三度くらいしか観てないが、印象がまったくブレない。その日の出来不出来だとか、調子のいい悪いだとかをまったく感じさせない。当然成長も変化もないわけだが、すでに「過不足が無い」のだから成長する必要は無いし、変化があっては困るのだ。「不足」がないのもそうだが、「過」がないのが大切なんだと思う。その意味では、たとえ変幻自在のパフォーマー大島優子といえど、桜川ひめこのマネはできないと思う。
今回かなり近くで桜川ひめこのステージを観たのだが、彼女の目は笑ってないことに気がついた。曲の最後に投げキッスをするときですら笑ってない。曲中、というか出番の間、まったくブレないのだ。誤解の無いようにくれぐれも言っておくが、決して無表情とか冷たいとかやる気なさそうとかのネガティブな印象は無い。腐った目でもないが輝いてもいない。媚びるような目ではないが天狗にもなってない。たぶん、あれは真面目な目と言えばいいのだろうか。だがその真面目さというのは、例えば嗣永桃子のようなプロの真面目さでもないし(あーでも現場で見る嗣永も目は笑ってなかったか・汗)、20世紀からアイドル続けてる人間国宝クラスの真摯さでもない。ただただ、今目の前の仕事に対しての真面目さなんだろう。だからパフォーマンスに過不足が無く、ブレないんだろうと思う。そしてそれは、「観光地」アキバにいる「一般大衆が喜びそうなアキバ系」としては必須条件だろうと思った。缶コーヒーBOSSのCMが決まったという話も、仕事の大きさには驚いたが、内容を想像するにさもありなんと納得した。
桜川ひめこ本人や仕掛人(いればな)にどのくらいの自覚があるのか、あるいはすべてまったくの偶然の産物なのかわからんが、興味深いなと思った。思ったが、物販も行ってないんで話したことは無いんでそのへんについてはヒントもない。


「現場で二、三度観たくらいでうるせえよ」とか言われるかもしれんが、「一般大衆が喜びそうなアキバ系」としては一度でわからせなきゃなんだから。あと、これだけ「アキバ系」って書いておいてなんだが、俺も「アキバ系」の意味はわかってない。が、そのわかってない人間に「ステレオタイプなアキバ系」だと思わせるところが、Xや聖飢魔IIが、HM/HRがわかってない人間に「ヘビメタ」をやってみせたのを連想させるのかなあと思った。